睡眠改善編(2022/6/9)

このタイガーロールでは、ご利用者様の睡眠に関してのライフリズムナビ活用方法を説明します。
本書に書かれているステップに沿ってライフリズムナビの活用方法を習得することで、睡眠データの解析や眠れていないご利用者様の睡眠改善にお役立ていただけます。
ここでは、実際に活用するにあたって最低限知っておくべき、ライフリズムナビの機能の基礎知識をまとめています。まずは本パートに目を通したあとで、データを活用した睡眠改善に挑戦してみてください。

◆事前確認項目

あらかじめ用意するもの

PCまたはスマートフォン、タブレット

導入されているセンサーによる表示の違い

ご施設によっては導入されているセンサーの違いにより、ご使用になられている実際の画面表示とは異なる点がございます。あらかじめご了承ください。

注意

本章は「過去データ」、「詳細データ」の見方をご理解いただいていることを前提に説明を進めてまいります。
まずは、下記URLの「データの見方」をご参照ください。
https://tigerroll.liferhythmnavi.com/20220501_point0/?singleRoom=false&hasNursecall=false&withSmartphone=true

◆目次

STEP1:睡眠ログの見方を習得する
STEP2:睡眠ログから夜間の睡眠状態を把握する
STEP3:ライフリズムスコアの見方を習得する
STEP4:『スコアの推移』から生活習慣の変化に気づく
STEP 5:詳細グラフの見方を習得
STEP6:不眠の原因を探る
STEP 7:原因から対策の仮説を立てて対応する方法
STEP 8:変化を確認する

STEP1:睡眠ログの見方を習得する

最初に、「睡眠ログ」を用いて睡眠改善のもととなる睡眠時間などの情報の見方を確認しましょう。

『睡眠ログ』の見方

ライフリズムナビの『居室一覧画面』から『個人詳細画面』を開きます。

『居室一覧画面』から、詳細を確認したいご入居者様を選択
選択したご入居者様の『個人詳細画面』が開きます

『個人詳細画面』ページ「レポート表示」項目内から「睡眠ログ」がご覧になれます。

『個人詳細画面』を下にスクロールしていくと「睡眠ログ」があります


睡眠ログでは睡眠中在床中があります。

【体動などなく落ち着かれて眠れている】

睡眠中

【ベッド上で動かれておりよく眠れてない】

在床中


  1. ページの上から日付の古い順に表示されます。
    「1日=前日の12:00〜当日の12:00」であるため、グラフの左側に前日の日付、右側に当日の日付が表示されています。
  2. 横軸は前日の12:00〜当日の12:00を1時間単位で表示しています。
  3. 睡眠中在床中それぞれの時間帯を10分単位で表示しています。
  4. 1日(前日の12:00〜当日の12:00)の合計睡眠時間の推移を表しています。
  5. 1日(前日の12:00〜当日の12:00)の合計睡眠時間が4時間以下の場合、注意マークを表示しています。

STEP2:睡眠ログから夜間の睡眠状態を把握する

睡眠ログ上の特徴的な睡眠データ例をご紹介します。

例① 体動が無く良く眠れている

睡眠中が朝まで続いており、よく眠れていることが分かる良い睡眠の記録です。

例② ベッド上で体動がありあまり眠れていない

在床中が多くベッド上で動いている時間が長いため、よく眠れていないことがわかります。身体の痒み・おむついじり・何かが気になって眠れないなど、在床中の体動の要因があるかもしれません。

例③ 離床が多く臥床していない日が続いている

夜間帯にベッドから離れおり、休まれていないことが分かります。
睡眠時間が4時間未満の場合には 赤く注意マークが表示されます。
睡眠時間の計測方法は睡眠中の濃い青色のグラフの時間を集計しています。


このように睡眠ログで1日の睡眠データを確認することで、これまでの巡視などの一時的な情報のみでの判断ではなく、24時間の情報をもとに眠れているかどうかを確認することができます。

普段と比べて食事量の低下・ふらつき・傾眠など「様子が変だな?」と感じるご利用者様はもしかしたら昨晩の睡眠が関係しているかもしれません。
夜間にまとまった睡眠が取れているかを確認する際にご活用ください。

STEP3:ライフリズムスコアの見方を習得する

次に、前日の睡眠記録から計算しスコア化している、ライフリズムスコアの見方を確認しましょう。

スコアは毎日15時に更新されており、前日の睡眠の記録から3つの項目に分けスコア化しています。

疲労回復度
睡眠時間や起床時間などの生活リズムや睡眠環境などから、疲れが回復する予測値を数値化しています。

■疲労回復度が普段より低い場合に考えられる要因
・快眠指数や快適環境指数が低い
・前日、前々日の睡眠と比較し周期性に変化がある

② 快眠指数
睡眠時間や睡眠中の体の動きや睡眠の深さなどから、快眠であったかの予測値を数値化しています。

■快眠指数が普段より低い場合に考えられる要因
・睡眠時間が極端に短い長い
・在床しているが睡眠が浅い
・昼夜逆転をしている
・中途覚醒や無呼吸がある

③ 快適環境指数
睡眠中の温度湿度や睡眠中の身体の動きなどから、快眠に適した環境であったかを数値化しています。

■快適環境指数が普段より低い場合に考えられる要因
・睡眠中の温湿度に変化がみられる
・眠れていない
・居室の温湿度状況が悪い

STEP4:『スコアの推移』から生活習慣の変化に気づく

毎日更新されるライフリズムスコアの記録は、「レポート表示」の「スコアの推移」から確認をすることができます。

  1. 疲労回復度の推移を表しています。
  2. 快眠指数の推移を表しています。
  3. 快適環境指数の推移を表しています。

高齢者の場合は長時間の睡眠の方も多く、そのため指数の計算結果が60点前後という低めの値がでる方も多くいらっしゃいます。
しかし、決して長時間睡眠がその方の生活によくないという訳ではなく、その方のご年齢や体調により必要な睡眠時間であることも十分に考えられます。

そのため指数を高くするために無理に生活・睡眠習慣を変えようとはせずに、指数が変化したことを生活の習慣性(ライフリズム)の変化と捉えて、環境や体調に変化がなかったかを確認するひとつの目安としてご利用ください。

ライフリズムナビスコアが普段の数値より低くなった場合には、何か変化の予兆かもしれません。
その際には、【STEP5】の詳細グラフを確認してみましょう。

STEP 5:詳細グラフの見方を習得(睡眠深度、中途覚醒、無呼吸)

『睡眠ログ』や『ライフリズムスコア』から不眠の可能性が確認できた場合には、1日の詳細データで居室のセンサー情報を確認してみましょう。

「過去データ」の見方

ご利用者様の個別ページより『過去データ』を開くと1日の詳細グラフを確認することができます。
『過去データ』では、センサーマット、人感センサー、開閉センサーからの情報を、1日単位(前日の12:00~当日の12:00)で確認できます。また、発報されたアラートを、アラートアイコンで確認することができます。

  1. ページの上部から日付の新しい順に表示されます。
  2. センサーマット、人感センサー、あけしめセンサーのグラフが1行にまとまって表示されます。
    下から、 睡眠活動トイレドア の順に重なります。
  3. 重なりが上になっているグラフの反応範囲が、下のグラフの反応範囲よりも長い場合、重なり順が下のグラフは見えなくなります。
    ドアが長時間開いているため、活動トイレのグラフが見えなくなっています。
    すべてのデータについて詳細を見るためには、詳細ボタンをクリックし、1日の詳細グラフをご確認ください。
  4. 詳細ボタンをクリックすると、1日の詳細グラフを表示します。
  5. 発報されたアラートを表示しています。
    ※「高温アラート」「低温アラート」「湿度低下アラート」「センサー反応なしアラート」「長時間トイレアラート」が表示されます。
「1日の詳細グラフ」の見方

『過去データ』の日付横にある【詳細】ボタン(「過去データ」の見方 ❹を参照)をクリックすると、「1日の詳細グラフ」が表示されます。

「1日の詳細グラフ」では選択した日付の前日12:00(正午)~当日12:00(正午)のデータをより詳しく表示指定しています。

  1. 離床中(センサーマットが感知していない時間帯)です。
    睡眠に関するデータ呼吸心拍体動睡眠深度は表示されません。
  2. 睡眠中在床中それぞれの時間帯を10分単位で表しています。
  3. 睡眠中・在床中の呼吸の推移を表しています。
    横向きの姿勢では呼吸が取得しづらいため、横向きで寝ている時や寝返りを打った時は、一時的に値が0となることがあります。
  4. 睡眠中・在床中の心拍の推移を表しています。
  5. 睡眠中・在床中の体動の推移を表しています。
    一般的に、浅い眠りの時は数値が大きく、深い眠りの時は数値が小さくなる傾向があります。
  6. 睡眠中・在床中の無呼吸回数を1時間ごとに表しています。
  7. 睡眠中・在床中の睡眠深度の推移を表しています。
  8. 中途覚醒の時間帯を10分単位で表しています。
    睡眠中→在床中(または離床中)へ変わったタイミングから、次の在床/睡眠までの間が10分以下の場合、中途覚醒と判断されます。
  9. 室内人感センサーが反応している時間帯を10分単位で表しています。
    → 過去データグラフ、マンスリーグラフの活動と同様です。
  10. トレイ内人感センサーが反応している時間帯を10分単位で表しています。
    → 過去データグラフ、マンスリーグラフのトイレと同様です。
  11. ドアが空いている時間帯を10分単位で表しています。
    → 過去データグラフ、マンスリーグラフのドアと同様です。
  12. 室温の推移を表しています。
  13. 発報されたアラートを表示しています。
    ※「高温アラート」「低温アラート」「湿度低下アラート」「センサー反応なしアラート」「長時間トイレアラート」が表示されます。

不眠の原因を見つけ出すヒントとしてご利用ください。

STEP6:不眠の原因を探る

これまでのSTEPでは、ライフリズムナビでの睡眠状況の確認方法を習得してきました。
眠れていないという事実を確認できたら、不眠の原因を特定し、生活リズムの改善に向けてアセスメントをしてみましょう。

睡眠障害 4つのタイプ

不眠症は4つのタイプに分けられます。

・寝つきの悪い「入眠障害」
・眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」
・早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」
・ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない「熟眠障害」

これらの4つの症状は、どれか1つではなく2つ以上組み合わさって現れる場合も多く、複数の症状を訴える人も多くみられます。

(参考:内山 真 編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン(第3版)」)


睡眠障害の原因例

また、原因としては以下のようなものが考えられます。

  1. 生活習慣や居室などの環境によるもの
  2. 身体疾患によるもの
    例)頻尿(前立腺肥大膀胱炎など)、痒み(アトピー性皮膚炎むずむず脚症候群など)、痛み(頸椎症腰痛など)
  3. 薬剤性不眠によるもの
    身体疾患治療のための薬剤の中には副作用として不眠をもたらすものがあるので注意が必要です。
    例)抗結核薬:イソニアジド、降圧薬:メチルドパ、抗パーキンソン病薬:レボドパ など
  4. 睡眠時無呼吸によるもの
    睡眠中の窒息感や呼吸停止により中断される激しいいびき
  5. 周期性四肢運動障害によるもの
    例)入眠困難や中途覚醒、睡眠時の下肢不随運動など
  6. うつ病によるもの
    例)中途覚醒、早朝覚醒、抑うつ感など
  7. 早朝覚醒、夕方からの眠気など加齢によるもの
  8. 入眠困難型不眠症、精神生理性不眠症によるもの

これらは一例となります。上記を参考に、対象のご利用者様の「不眠のタイプ」と「その原因」を掴めたら対策を検討していきましょう。

(参考:内山 真 編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン(第3版)」)

STEP 7:原因から対策の仮説を立てて対応する方法(ケアの工夫、生活リズム、服薬)

STEP6にて不眠の原因が判明したら、対策の仮説を立てケアを実践してみましょう。

睡眠改善に向けて、ぜひさまざまな方法でアプローチをしてみましょう。

ケアの工夫による対応例

・就寝(ケア)の時間を早める、遅くする
・声かけの方法を変えてみる
・就寝前の足浴など、ご本人様が落ち着くことができるケア
・日中に外出ケアを入れ日の光を浴びる時間を組み込む

生活リズムに着目した対応例

・日中の活動時間を増やす
・落ち着いて過ごせる居室内の環境整備
・ケアの時間をこれまでの在宅の生活リズムに合わせる

服薬での対応例

・眠前薬の処方にて睡眠リズムを整える
処方前と処方後のライフリズムナビの睡眠データで確認しましょう。様子の変化を医療職と共有することで、薬の検討やその後も処方を継続するかなどの判断材料につながります。
・不要な服薬はないか見直す

STEP 8:変化を確認する

睡眠改善のケアによる変化が現れているかを、日々のご本人様の様子やライフリズムナビの情報を観察し、介護職・医療職で情報共有・連携を取りながら仮説検証に取り組み睡眠改善を目指しましょう。

実際の睡眠改善の変化事例

2021年6月時点の「睡眠ログ」では赤い注意マークが表示され、「合計睡眠時間が4時間以下」という状態が日常化していました。
改善策として、日中に散歩の時間や寝る前の足浴などの取り組み、医療職とデータを共有し服薬の見直しなどを行うことで、三ヶ月後の2021年9月にはまとまった睡眠が取れるようになりました。 

2021年6月 

2021年9月 

それぞれのケアが睡眠にどう影響したのか、振り返りながら改善に向けて取り組んでみましょう。 

睡眠改善での活用まとめ

本章では、ご利用者様の睡眠改善に向けてライフリズムナビの活用の方法をご紹介しました。

施設内にいると太陽の日を浴びることも減り体内時計もメリハリがつかず、睡眠のリズムの崩れや、質も低下していきます。また、眠くないのに介助者から臥床を促されて余計に眠れない、もしくは眠れないからといって安易に睡眠導入剤を服薬すると、転倒し骨折のリスクもあるかと思います。

そこでまずは施設の外に出る機会を増やし、ほどよく疲れるようにする。また、太陽の日を浴びて体内時計のメリハリをつける。そして、夜間なかなか寝付けない方に対しては無理に臥床を促すのではなく、ご本人様の好きなこと読書、テレビ、音楽などを提供し、眠れる状態をつくるのも効果的です。

ご施設でご利用者様の睡眠改善に向けて、ぜひライフリズムナビをご活用ください。

参考:内山 真 編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン(第3版)」

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